8K とは、7680 × 4320 画素の高解像度ビデオを表す規格名です。16 : 9 のアスペクト比で、33,177,600 画素の映像を表示できます。より正確な名称は「UltraHD2」で、放送局およびライブイベント向けの規格です。
デジタルシネマの映画配給で採用されている 8K DCI (デジタル・シネマ・イニシアティブ) 規格はわずかに画素数が多く、8192 × 4320 = 35,389,440 画素を表示します。
1995 年に NHK が開発を始めた 8K/UltraHD2 は、4K/UltraHD に取って代わる新たな解像度で、2012 年には国際標準規格として、正式に REC 2020 に含まれました。この規格では、8K および 4K の解像度と、超高精細映像用のフレームレートが以下のように定義されています。
3840 × 2160p - 23.98、24、25、29.97、50、59.94、60
4096 × 2160p - 23.98、24、25、29.97、50、59.94、60
7680 × 4320p - 23.98、24、25、29.97、50、59.94、60
8192 × 4320p - 23.98、24、25、29.97、30、47.95、48、50、59.94、60
8K を伝送するためのケーブルや接続方法にはいくつかの種類があります。
12G-SDI は 8K/UltraHD2 ビデオに適した最高品質の映像伝送を実現し、12G-SDI × 4 本で 8K を受け渡します。HDMI v2.1 と DisplayPort v1.4 はどちらも 8K/UltraHD2 を 1 本のケーブルで伝送できますが、ディスプレイをグラフィックカードやビデオデバイスに接続するような短い距離で接続する場合に使用されるのが一般的です。
Sharp®、Sony®、Samsung®、LG® などのディスプレイメーカーでは、幅広いフォーマットを受け取れるディスプレイを提供しています。HDMI v2.0 × 4 本または HDMI v2.1 x 1 本で 8K 入力するディスプレイが一般的には普及していますが、業務用途では 12G-SDI × 4 本で入力可能なディスプレイが支持を得ています。
8K でデジタルマスタリングを行っておくと、ダウンサンプリングを行って 8K 未満の解像度でマスタリングする際にも活用できます。8K の映像を 8K 未満の解像度で使用する場合に切り出しを行ったとしても、画質の劣化を抑えられ、実用的かつ美しい映像が得られます。
複数の関心領域 (ROI) を切り取りズームアップして出力可能なので、スポーツや大規模なライブイベントなどに最適です。セキュリティーや防災の場面でも 8K は活用できます。映像を切り抜いて個別のソースとして正確に出力可能です。
HDR の UltraHD2 はフォーマットとして定められているため、対応ディスプレイやスクリーンに表示できます。ライブイベント、会議、イベント会場などで、細部まで臨場感あふれる広色域な映像を映し出せます。
8K/UltraHD2 の高解像度の強みを活かすと様々な場面で応用可能です。ライブイベントでは、非常に高品質な 8K のマスター映像を会場に設置された大型ディスプレイで細部まで映し出せます。またポストプロダクションでは、8K を切り出して 4K や HD にダウンサンプリングしたバージョンを画角を変えた別のショットとして柔軟に使用できます。
VFX (視覚効果) が使われる映画では、視聴者により自然な印象を与えるために解像度の高い映像が求められます。VFX を利用したショットのマスター背景データとして高画質な映像を利用すると、より高品質な背景を作成可能です。
放送局での 8K 活用例としては、司会者の映像をコンピュータで生成したセットに重ねられるバーチャルセットがあります。より詳細まで表示できるため、より複雑なデータを用いてニュース番組やスポーツ番組を作れるため、演出の柔軟性が向上します。
公共の場に設置されているサイネージでは、映像のより詳細まではっきり表示できるため、コンテンツの可能性が広がります。情報の共有や表現を新しい方法で挑戦できます。
今日の映画のほとんどは 4K で配給されていますが、DCI 用のマスター解像度として 8K が策定されています。そのため、将来的には 8K での映画配給が現実になるでしょう。8K コンテンツは高画質の 4K にダウンサンプリング可能です。現在から 8K 制作環境を整えておけば、8K 配給が現実になった際にコンテンツの再編集や選定作業、追加費用の捻出を行う必要がありません。
AJA は、さまざまな 8K ワークフローに対応するソリューションを提供します。撮影時から、経由するルーターや I/O、HDR 変換や分析、最終的にディスプレイに表示される映像までのあらゆるフェイズを支援します。
ワークフローの例をいくつかご紹介します。
Ki Pro Ultra 12G には、強力な 8K プレイバック機能が搭載されています。RS-422 経由で 4 台の Ki Pro Ultra 12G を連携させて動作させられます。8K の映像を 4 分割し、個々の Ki Pro Ultra 12G は、それぞれ 4K ビデオとしてプレイバックします。
正確な 8K SDI VPID が設定されていれば、下流に接続した対応デバイスとの互換性を確実にできます。HDMI 2.0 から HDMI 2.1 に変換可能なコンバーターと組み合わせれば、4 系統の HDMI で同様のワークフローを実現できます。
AJA 製のフレームシンクロナイザー FS-HDR は、リアルタイムでさまざまなソースの HDR 変換とワイドカラーガマット変換が行なえます。ARRI®、Sony、Canon®、Panasonic® などのカメラシステムに対応しています。4 台の FS-HDR 上の SFP 拡張ポートで適切な 12G-SDI SFP モジュールを接続し、Tangent コントロールパネルと一緒に使用すると、8K の HDR 変換とワイドカラーガマット変換が行なえます。
Windows / Mac に対応した AJA 製の無料アプリケーション FS-HDR Control Link を使用すると、Tangent panel の USB インターフェイスや Ethernet LAN と FS-HDR との間で双方向に通信が行えます。ファームウェア v2.6 以上では、FS-HDR Control Link で Colorfront® Engine のパラメーターを操作できます。4 台の FS-HDR を同時に操作できるため 8K のカラーマネジメントが行えます。
AJA 製のミニコンバーター Hi5-12G を 4 台と、Socionext 社や Astro Design 社の適切な HDMI コンバーターを同時に使用すると 8K 信号を HDMI v2.1 に変換できます。
8K ビデオ信号は、Hi5-12G で 12G-SDI から HDMI v2.0 に変換され、もう 1 台のコンバーターで各 HDMI v2.0 を 1 系統の HDMI v2.1 に変換します。このソリューションでは、Samsung® 製など従来の 8K ディスプレイを活用できます。このシステムは、KONA 5、HDR Image Analyzer 12G、4 台の 8K モードの FS-HDR とも一緒に使用可能です。